この風にこころ啓けば聞こえくる 今は昔、とある国での物語

時空間絵巻Vol.4 椿姫 ~ La Traviata ~

孤独のなか死と愛を見つめた「ヴィオレッタ」 怒りのあまり全てを失った「アルフレード」 
そして家族を思い良かれとした行為で息子とヴィオレッタを貶めてしまった「ジョルジョ・ジェルモン」 
この物語はオペラによる“贖罪”と“懺悔”の賛美歌である

構成/脚本 赤穂隆史

あらすじ / Summary

 貴族社会が隆盛な頃のパリ。社交界の夜の華であるヴィオレッタは高級娼婦として愛や神を信じない生活にあり、不治の病に冒されていた。

 が、そんなある日、彼女の前に田舎の青年貴族であるアルフレードが現れる。彼はヴィオレッタへの一途の愛から健康のためにも今の暮らしを改めるようにと諭す。初めは聞き入れないヴィオレッタもアルフレードのひたむきさに心がときめき、彼との人生を選ぶこととなる。

 パリを離れ、幸せな暮らしを始める二人。そこにアルフレードの父、ジェルモンが現れる。二人の関係を認めない父は、先ずヴィオレッタに息子と別れるように迫る。最期を悟り、愛や神を信じるようになったヴィオレッタは強く拒否するも「神に祝福されない結婚」とジェルモンに言われたことでアルフレードとの別れを承知してしまう。次はアルフレードだが彼は聞き入れなかった。逆に自分のもと去って元の夜の社交界に戻ったヴィオレッタを取り戻すためパリに向かい、その夜会の場で嫉妬に狂って面前の前で愛するが故にヴィオレッタを辱めてしまう。程なくアルフレードは我に返り悔やむも、彼はその日の晩のうちに討たれてしまい命を落とすこととなるのである。

 アルフレードの死を知らぬままジェルモンからの手紙を信じ再会を待ちわびるヴィオレッタ。しかし彼女にはもう残された時間はなかった。
 臨終に間に合い、ヴィオレッタの最期を見届けたジェルモンは、家族のためにと信じた自らの行いの罪深さをようやく知ることとなった。

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